お寺・神社の基礎知識

精進料理

精進料理は、仏教の戒律の考えを基にした料理です。
肉や魚などの動物性の食物を口にする事を禁止し、野菜、木の実、穀物、海草など植物性食材のみで作る宿坊直伝の味です。
現在では、一般参拝者がお寺周辺の旅館や、宿坊に宿泊した際に、振舞われる料理となり一般的に浸透しています。
昔から、穀物や野菜を好んで食べてきた日本人にはもちろん馴染みやすい料理ですが、健康思考の高まりもあり日本食や精進料理に興味を持ち、食す外国人の方々も増えてきています。

精進料理

精進料理の起源

精進料理は、中国から伝わった料理ですので、もちろん中国にも同様の料理があります。
中国では精進料理を「素菜」、「素食」などと呼び。発祥は後漢時代(1世紀)の仏教伝来の後とされています。
精進料理の発祥の地とされる中国では、供される場所により次の4つに分けられており、使う素材や調理方法などに違いがあります。

【寺観素菜】
仏教寺院や道教廟観で出されるもので、僧侶や道士が作り、自身が日常食べる質素なものと、専門の料理人が作る法事、接客用の特別なものがあります。
殺生をしないことや禁葷食が基本であり、生姜を用いないことも特徴です。道観では道教の養生論により食材や生薬が選ばれる点で違いがあり、仏教素菜と分けて考える場合もあります。

【宮廷素菜】
唐から清の宮廷内で出されたもので、専門の料理人が作り、清代には皇帝、皇后などが敬虔な信者となり、特別に「素局」という部門を設置し、寺観素菜と同じ基準で作られた時期もあります。
また、皇帝によっては、単なる気分転換に食べられた場合もあります。
また、健康維持の薬膳として食べる場合は、栄養、効用重視で作られ、庶民が手に入れられない生薬を使うこともありました。

【市肆素菜】
いわゆる「素菜館」、「素食処」、「素飯館」、「蔬菜館」など、市中の精進料理店で出されるもので、料理人が作ります。
宋代に宮廷料理人出身者などにより出現したが、味や見た目を重視するため、手間をかけたり、材料を吟味した料理が多く、素材は野菜やきのこであっても、肉、魚、エビなどの出汁や酒、ラードなどの動物性油脂を使うことがよくありますし、、鶏卵や冬虫夏草の使用も使用します。

【民間素菜】
民間の家庭で出されるもので、野菜を煮たり炒めただけの簡単で質素なものが多いです。
仏教、道教の信者が常時食べるものと、季節的健康維持などの理由で短期間限定で食べるものがあります。
例えば、清の袁景潤の『呉郡歳華記麗』に記述があるように蘇州など華南では旧暦6月を斎月とする習慣がありました。


朝鮮・韓国の精進料理

精進料理は、中国が発祥の地ですので、中国の隣国である朝鮮・韓国にも精進料理があります。
朝鮮半島への仏教伝来は4世紀であり、中国では五胡十六国時代、南北朝時代に当たりますが、すでに僧侶による農耕や菜食に移行する段階であったため、菜食(チェーシク 채식)、素食(ソシク 소식)も仏教とほぼ同時に伝えられたと考えられます。
統一新羅時代に唐から伝えられた禅宗は、禁葷食であり、仏教と切り離せない修行の方法の一つとして料理も伝えられました。

朝鮮半島においても、精進料理は供される場所により、寺院、宮廷、市中の料理店、家庭の4つに分けることができます。
特に、宮廷においては道教の養生論や朝鮮人参などの韓薬も取り入れて、独特の精進料理が考案されたため、中国と異なる風味、手法のものも多く存在しています。
一方で、中国同様のもどき料理を作る手法は取り入れられ、改良されて、フェ(刺身)に似せたものなどの独特のものも作られています。

現在の韓国の精進料理は、韓国料理で多用されるトウガラシ、チシャ、エゴマなどの食材を取り入れており、中国や日本の精進料理とは異なる風味を持っています。
調理法ではナムルなどの和え物が目立ち、葉野菜を生で食べる事がある点は中国や日本と異なり、中国では用いられる頻度の少ない昆布や海苔などの海藻も日本同様に取り入れています。


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